採用ピッチ資料は、AIで候補者の質問を集めてから作る
採用ピッチ資料は、候補者に会社と仕事を説明するためのスライドです。この資料は、会社紹介の順ではなく、候補者が聞きたい質問に答える順で作ります。AIを使うと、その質問を求人票と公開情報、面談のメモから洗い出して表にできます。
会社概要、沿革、事業、制度の順に作ると、紙面はそろいます。ただ、候補者が面談の前に知りたいことへの答えが、どのページにあるのかは分からないままです。答えを書くのは人で、AIに任せるのは質問の洗い出しと並べ替えです。
ここで扱うのは、作り始める前の準備と構成です。
会社紹介の順に並べた資料では、候補者の質問の答えを探させることになる
候補者が比べているのは、会社の沿革ではなく「自分がここで働くとどうなるか」です。会社紹介の順に並べると、仕事の中身は後半に来ます。今の課題を書くページは、この順の中にありません。
ページの順番は、会社が話したい順ではなく、候補者が聞きたい順に決めます。図1は同じ会社の資料を並べ替えた見本で、架空の例です。

会社概要を消すわけではありません。「この会社は何をしているのか」という質問への答えとして、短く前に置きます。沿革は、今の事業や課題を説明するのに要る部分だけを残します。
表1 候補者の質問と、それに答えるページ
| 候補者の質問 | 答えるページ | 用意する材料 |
|---|---|---|
| 何をしている会社か | 事業の説明 | 顧客と提供価値を書いた文 |
| 入社したら何を任されるか | 任せる仕事 | 募集の背景と最初に担当する業務 |
| 誰と働くのか | チームの紹介 | 体制と一緒に働く人の役割 |
| 今は何に困っているのか | 今の課題 | 経営者か現場の言葉 |
| どう評価されるのか | 評価と働き方 | 制度の原典 |
| 選考はどう進むのか | 選考の流れ | 段階ごとの内容 |
「今は何に困っているのか」のページは、求人票に書きにくい話です。候補者にとっては、入社後の仕事を想像する材料になります。
AIには質問を洗い出させ、どれに答えるかは人が決める
社内の人は、自社の文書を読み慣れています。AIには、その文書を候補者の立場から読み直させます。

手順は次の4段階です。
- 求人票と自社の採用ページの本文をAIに渡し、候補者が応募前に知りたいと考えそうな質問を挙げさせます。
- 同じ職種の他社の公開求人をAIに読ませ、他社が答えていて自社が答えていない質問を挙げさせます。
- 個人情報を除いた面談のメモをAIに渡し、候補者が実際に聞いた質問を足します。面談のメモがなければ、面接官に聞いて書き足します。
- 人が表を読み、答える質問と答えない質問に分けます。答える質問を、候補者が知りたい順に並べます。
最初の手順の依頼文は、たとえば次の形です。
「次の求人票を、この職種で転職を考えている人の立場で読んでください。応募する前に会社へ聞きたくなりそうな質問を挙げ、質問ごとに、この求人票で答えられているかどうかを書いてください。求人票にない事実は書かないでください。」
できた表は、資料の目次の案になります。答えられない質問が残ったら、それが経営者や現場に聞きに行く項目です。
答えは人が書き、制度と数字は原典と見比べる
手元の資料にない社内の事情を、AIは根拠をもって書けません。「裁量が大きい」「風通しがよい」のような語は、他社の資料にも同じように並びます。候補者が比べているのに、比べる材料になりません。
答えの文は、経営者や現場に聞いた話から人が書きます。聞いた話の書き起こしを整理する作業は、AIに任せられます。制度・条件・数字は、人が社内の原典を開いて行ごとに見比べます。資料の誤りは、候補者への誤った約束になるからです。AIの下書きの直し方はAI資料の修正の記事でも扱っています。
面談の場にいない人にも読める順にして、面談の前に渡す
候補者は、資料をひとりで読みます。話す人がいない前提で、補足がなくても分かる文にします。商談の資料と同じ考え方で、面談用と配布用を分けず、ひとりで読める順に作り、面談でしか使わない補足だけを付録に回します。考え方は営業資料の構成の記事にあります。
公開事例では、採用チームが候補者に会社の考え方を伝える材料として記事を使っています。資料も同じように面談の前に渡します。面談の冒頭で読んだかどうかを聞き、読んでいれば、説明し直さずに踏み込んだ話から始められます。事例は事例の一覧で読めます。
作り直す前に、今の資料を質問の表と照らし合わせる
すでに資料があるなら、作り直す前に次の順で見ます。
- 表1の質問を今の資料の余白に書き込み、答えがあるページに印を付けます。
- 印のない質問を、聞いて書き足す項目にします。
- 印の付いたページを質問の順に並べ替えます。ここでは見た目を直しません。
- 社外の人に読んでもらい、答えを見つけられなかった質問を聞きます。
会社説明会で使う資料と、面談の前に渡す資料では、聞かれることが変わります。まず面談の前に渡す資料を、この順で直します。スゴスギのAI採用ディレクターは、質問の表づくり、取材の設計、資料の構成と制作までを担います。資料制作の進め方は資料作成のページに載せています。