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提案資料のアジェンダは、相手が採否を決める順に並べる

提案資料のアジェンダは、相手が提案を採るかどうかを決めるときの順に並べます。課題、選択肢、推奨、実行条件、次の決定の順です。そのうえで各行に、その章で相手が何を決めるのかを書き添えます。

「現状分析」「ご提案内容」「費用」「スケジュール」と章の名前を並べたアジェンダでも、これから何の話が続くかは分かります。書かれていないのは、どの章で何を決めればよいかです。それが冒頭にないと、相手は説明を聞きながら、決める材料がどこで出てくるのかを自分で探すことになります。

ここで扱うのは、案件ごとに採否を決める相手へ出す提案資料の、冒頭に置くアジェンダのスライドです。会議の進行表としてのアジェンダは扱いません。

アジェンダは、課題・選択肢・推奨・実行条件・次の決定の順に並べる

提案資料のアジェンダの流れ。課題、選択肢、推奨、実行条件、次の決定を上から矢印でつなぎ、各項目の横に相手が決めることを書いている。
図1 アジェンダの5項目と、各項目で相手が決めること

5つの項目は、前の項目が決まらないと次の項目を決められない順に並んでいます。取り組む課題が合っていなければ、手段を比べても意味がありません。ほかの手段と比べていなければ、推奨する案を選んだ理由に、相手は納得できません。案が決まる前に費用や期間を示すと、相手は何に対する費用なのかを考えながら聞くことになります。最後に、誰がいつまでに何を決めるかを置いて、提案の場を終えます。

表1は、5つの項目ごとに、相手が決めることと、その章に入れる紙面をまとめたものです。提案資料の構成も、この順に章を立てます。

表1
項目相手が決めることその章に入れる紙面
課題取り組む課題はこれで合っているか現状と、このままにした場合の影響
選択肢ほかの手段と見比べたか取れる手段と、比べる条件
推奨どの案を選ぶか推す案と、その理由・根拠
実行条件費用・期間・体制を受け入れるか費用、期間、進め方、相手側の作業
次の決定誰が、いつまでに、何を決めるか決める人と期限、次の打ち合わせ

選択肢の章を省くと、相手は社内で「ほかの方法はないのか」と聞かれたときに、資料から答えを示せません。比べる案には、相手が社内でできることや、今のまま続けることも入れます。

次の決定の章がないと、提案の場は「社内で検討します」という返事で終わります。誰がいつまでに何を決めるのかが分からないまま、提案する側は次の連絡を待つことになります。最後の行に決める人と期限が書いてあれば、その場で相手に合っているかを聞き、違っていれば書き直せます。

会社紹介と実績は、推奨の理由を支える紙面として入れる

会社紹介を読んだ相手が判断するのは、その会社に任せられるかどうかです。これは推奨の案を選ぶときの材料なので、独立した章にせず、推奨の章で理由と並べます。導入の実績も同じ章に入れ、推す案を選ぶ根拠として示します。

すでに取引がある相手なら、会社概要は巻末に回すか、省きます。相手がもう知っていることを冒頭に置くと、課題の話に入るまでの時間が延びます。

提案資料の目次とアジェンダは、書き添える内容で分ける

目次は、資料の章の名前とページを並べたものです。ここでは、章ごとに相手が何を決めるかまで書き添えたものを、アジェンダと呼びます。目次は資料のどこに何があるかを示し、アジェンダは提案の場で何を決めるかを示します。

図2は、社内ヘルプデスク(社員からのパソコンやアカウントの問い合わせを受ける窓口)の運用を請け負う会社が、ある会社の情報システム部門へ出す提案資料の見本で、架空の例です。相手の窓口では、問い合わせが重なる時期に、社員への返事が遅れています。

提案資料のアジェンダの見本。改善前は「現状分析」「ご提案内容」「導入効果」「費用」「スケジュール」と章の名前だけが並ぶ。改善後は課題から次の決定までを決める順に並べ、各行に相手が決めることを添えている。
図2 章の名前だけのアジェンダに、相手が決めることを添える(架空の見本)

上の改善前は、章の名前だけを並べた目次です。下の改善後は、章を決める順に並べ直し、「選択肢」と「次の決定」の章を足して、各行に相手が決めることを添えました。改善前の「導入効果」は、推奨の理由として推奨の章に入れています。

改善後のアジェンダなら、相手は説明を聞く前に、提案の場で何に答えるのかを知ります。課題の行には「返事の遅れを、解く課題としてよいか」、次の決定の行には「部門長が次の会議までに、試す範囲を決める」と書いています。

文化審議会の建議「公用文作成の考え方」は、見出しだけを読めば内容と流れがおおよそつかめるように書くことを勧めています。アジェンダの各行に決めることを添えるのは、この勧めを提案資料の冒頭に当てはめたものです。

営業資料とは、資料を読む場面が違います。営業資料は商談のあとに社内で回され、商談にいなかった人が資料だけを読んで判断します。紙面に載せる量や事例を置く場所の見直しは、営業資料の構成の記事で扱っています。提案資料のアジェンダは、採否を決める相手が同じ場にいる前提で、その相手がこれから何を決めるのかを最初に示すスライドです。

テンプレートは、項目ごとに「相手が決めること」を空欄にして使う

アジェンダのテンプレートの空欄の書き方。はい・いいえで答える形、案を選ぶ形、決める人と期限を書く形について、空欄の形と、見本の言葉を入れた例を上下に並べている。
図3 空欄の形ごとに、見本の言葉を入れた例(架空の見本)

空欄に入れる言葉は、相手がその場で答えられる問いの形にします。形は次の3つです。はい・いいえで答える「〔 〕でよいか」、案を選ぶ「〔 〕か、〔 〕か」、決める人と期限を書く「〔誰〕が〔いつ〕までに、〔 〕を決める」。図3は、表2のうち課題・推奨・次の決定の行について、空欄の形と、見本の言葉を入れた例を上下に並べたものです。

表2は、5つの項目ごとに空欄の形を決めたテンプレートです。右の列は、図2の見本で空欄を埋めた例です。自社の提案に使うときは、項目と空欄の形の列を写し、見本の書き方の列を自分の案件の言葉に書き換えます。

表2
項目空欄の形見本の書き方
課題〔 〕を、解く課題としてよいか返事の遅れを、解く課題としてよいか
選択肢〔 〕と比べたか社内で担当を増やす案と比べたか
推奨〔 〕か、〔 〕か一次対応だけか、すべて任せるか
実行条件〔 〕と〔 〕でよいか費用と引き継ぎの進め方でよいか
次の決定〔誰〕が〔いつ〕までに、〔 〕を決める部門長が次の会議までに、試す範囲を決める

空欄の主語は、提案を受ける相手です。「ご説明します」「ご紹介します」のように提案する側の動作を書くと、その行で相手が何をするのかが読み取れません。問いの形で書いておけば、提案の場で相手が答えた内容を、その行の横に書き取れます。

アジェンダのスライドは、章の名前を左、問いを右に置く

スライドでは、章の名前を左の列に、相手が決めることの問いを右の列に置きます。章の名前は短い語にし、問いはスライドの横幅に収まる短い文にします。問いが長くなるなら、主な問いだけをアジェンダに書き、細かな問いはその章の中の紙面で示します。

ひとつの章に問いがいくつも並ぶなら、章を分けます。アジェンダの行と章がずれると、相手はいまどの問いに答えているのかを追えません。

提案の場で相手が答えた行には、その場で印を付けておきます。最後の次の決定の章で、答えが出た行と出ていない行を見返せば、持ち帰ってもらうことを相手と一緒に書き出せます。

短い提案は行を減らし、章の多い提案は扉にも同じ行を書く

数ページで終わる提案なら、5つの項目すべてに章を立てなくても構いません。課題と選択肢をひとつの章にまとめ、アジェンダは「課題と選択肢」「推奨」「次の決定」のように行を減らします。行を減らしても、各行の横には相手が決めることを書きます。

章の多い提案では、各章の扉のスライドに、冒頭のアジェンダと同じ文言の行を載せます。説明の途中でも、相手は扉のスライドを見れば、いまどの章で何を決める話をしているのかが分かります。

空欄を埋められない行は、提案の中身から見直す

空欄に入れる言葉が書けない行は、アジェンダの書き方ではなく、提案の中身がまだ決まっていません。選択肢の行が書けないなら、ほかの案とまだ比べていません。次の決定の行が書けないなら、相手の社内で誰が決めるのかを、まだ聞けていません。

どちらも、提案の場で相手から聞かれる前に埋めておきます。ほかの案は自分たちで比べ、誰が決めるのかは、提案の前の打ち合わせで担当者に聞きます。

サンプルは、新規の提案と見直しの提案で並べ方を変える

新規の提案と見直しの提案のアジェンダの見本を左右に並べた図。見直しの提案は「前回決めたこと」から始まり、選択肢に今のまま続ける案を入れ、実行条件に切り替えの間の窓口の扱いを書いている。
図4 見直しの提案では、前回決めたことを最初の行に置く(架空の見本)

図4と表3のサンプルは、図2と同じ窓口の提案です。相手と初めて取引するのか、すでに任されている業務を見直すのかで、相手が最初に決めることが変わります。図4の左は新規の提案、右は見直しの提案のアジェンダです。見直しの提案は、平日の一次対応を任されたあと、休日の問い合わせまで範囲を広げるかを相手に決めてもらう場面です。

表3は、ふたつの提案で並べ方が違うところを抜き出したものです。

表3
見るところ新規の提案見直しの提案
最初の行課題から始める前回決めたことから始める
課題返事の遅れ休日の返事の遅れ
選択肢担当を増やす案と比べる今のまま続ける案と比べる
推奨会社紹介を根拠に入れる会社紹介は入れない
実行条件費用と引き継ぎの進め方切り替えの間の窓口の扱い
次の決定試す範囲を、次の会議までに決める広げる範囲を、契約の更新までに決める

新規の提案は、課題の答えをもらってから案に進む

初めて取引する相手は、提案する会社が自分たちの現状をどこまで把握しているのかを知りません。最初の行で課題を示し、相手の認識と合っているかを答えてもらってから、案の話に進みます。課題の行で相手が「それは違う」と答えたら、その場で課題を書き直し、選択肢から先は次の打ち合わせに回します。

会社の体制や、これまでに受けてきた業務の種類は、推奨の章に入れます。この見本では、「一次対応だけか、すべて任せるか」を選んでもらう章で、一次対応を引き受けるときの体制を示します。

見直しの提案は、前回決めたことから始める

すでに業務を任されている相手には、会社紹介は要りません。最初の行には、前回の提案で何を決めたのか(任せた範囲と、そのときに置いた条件)と、その後どうなったのかを置きます。前回の決定と今の状態が並んでいれば、相手は今回の提案を、前回の決定を変えるかどうかの話として読めます。

見直しの提案で相手が決めるのは、変えるか続けるかです。今のまま続ける案を比べる案に入れていないと、その判断に要る材料が資料にありません。実行条件には、切り替えの間に窓口をどちらが受けるかを書き、費用は変わる部分だけを示します。

決める人が提案の場にいないなら、次の決定の行に持ち帰る先を書く

提案の場に出るのが担当者だけで、採否は部門長や役員が決める場合があります。そのときは、次の決定の行に「担当者が社内で説明し、部門長が次の会議までに決める」のように、持ち帰ったあとに誰が何を決めるのかまで書きます。

担当者が社内で説明するときは、提案資料のアジェンダをそのまま使えます。各行に決めることが書いてあれば、提案の場にいなかった部門長も、どの章で何を判断すればよいかを、アジェンダのスライドから読み取れます。

作り方は、相手が決めることを先に書き、章名はあとから付ける

提案資料のアジェンダの作り方。決めることを書き出す、決める順に並べ替える、章の名前を付ける、各行に決めることを添える、の順に上から矢印でつないでいる。
図5 決めることを書き出し、決める順に並べてから章の名前を付ける

章の名前から書き始めると、「会社概要」「サービス紹介」のように、提案する側が手元に持っている資料の順に章が並びます。この記事で勧めるアジェンダの作り方は、手順1〜4のとおり、相手が決めることを先に書き、章の名前を最後に付ける順です。

表4
手順すること見本での例
手順1決めることを書き出す返事の遅れを、解く課題としてよいか
手順2決める順に並べ替える費用の問いを、推奨の問いより後ろに置く
手順3章の名前を付ける課題、選択肢、推奨、実行条件、次の決定
手順4各行に、決めることを添える課題の横に、手順1の問いを写す

手順1では、提案の場で相手に答えてもらいたいことを、相手が答える問いの形で書き出します。順番は気にせず、思いついた順で構いません。打ち合わせのメモや、相手から届いた依頼のメールを読み返すと、相手がすでに口にした問いが見つかります。

手順2では、前の答えが要る問いを、後ろへ回します。費用の問いは、どの案にするかが決まらないと答えられないので、推奨の問いより後ろに置きます。

手順3で、問いのまとまりごとに章の名前を付けます。名前は表1の5項目をそのまま使っても、相手の社内で使われている言葉に置き換えても構いません。手順4では、章の名前の横に、手順1の問いを写します。これがアジェンダのスライドになり、章の扉にも同じ行を使います。

章の名前だけのアジェンダが手元にあるなら、各行に問いを足す

すでに作った提案資料を直すなら、手順1から始め直さなくても構いません。今のアジェンダの各行の横に、その章で相手が決めることを書いてみます。

書けない行は、相手が決めることのない章です。たとえば「会社概要」の行に書ける問いを探すと、「この会社に任せられるか」になり、これは推奨の章で答える問いです。そうした章は、別の章の根拠として入れるか、巻末に回します。並び順が手順2の決める順と違う行は、入れ替えます。

構成から決められないときは、決めることを書き出してから相談する

外部に提案資料の制作を頼む場合も、相手が決めることを先に書き出しておきます。手元の素材や任せる範囲など、依頼の前に書き出す項目は、資料作成の依頼チェックリストにまとめています。締め切りが近いのに章立てが決まらず作業が止まっているなら、資料作成が終わらないときの進め方に沿って、完成の条件と決める人から先に決めます。

スゴスギの資料作成サービス「スゴシリョ」は、誰に何を伝えるかを先に設計し、言葉で構成を作ってから資料に仕上げるサービスです。提案資料の構成から相談したい場合は、スゴシリョのページから相談できます。構成が決まっていて見た目の仕上げだけを頼みたい場合は、AIが作った資料をプロがリデザインするスゴシリョliteがあります。

よくある質問:提案資料のアジェンダ

提案資料の「はじめに」には、何を書けばよいですか

提案の目的と、この資料で相手に決めてもらうことを、短い文で書きます。決めてもらうことは、アジェンダの次の決定の行と同じ言葉にします。この記事の見本なら、例文は次のとおりです。「本資料は、社員の問い合わせへの返事が遅れている課題について、窓口の一次対応を外部に任せるかどうかをご判断いただくための資料です。任せる場合に試す範囲は、次の会議までに決めていただくようお願いします。」

営業資料のアジェンダと、同じ並べ方でよいですか

並べ方を分けるのは、資料を使う場面です。商談のあとに社内で回され、商談にいなかった人が読む営業資料は、営業資料の構成の記事のとおり、課題・提案・根拠・次の行動の順に紙面を並べます。採否を決める相手に向けて説明する提案資料は、この記事の5項目の順にし、各行に相手が決めることを添えます。

提案資料・提案書・企画書で、アジェンダの並べ方は変わりますか

並べ方を変えるのは呼び方ではなく、誰が何を決めるかです。社外の相手に採否を決めてもらうなら、この記事の順に並べます。社内で予算や人を割くかを決めてもらう資料でも、決める人と決めることを書き出せば、同じ順に並べられます。決めることが承認するかどうかだけなら、選択肢の章を短くし、推奨と実行条件の説明に紙面を割きます。

この記事の根拠を確認できる資料