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提案書の表紙|タイトルだけでは何の提案か分からないのはなぜ?

提案書の表紙の題名には、相手のどの業務の何を、どう変える提案かを書きます。相手の会社名と「ご提案書」だけの表紙から読み取れるのは、誰が誰に出した資料かだけです。同じ相手に前に出した提案書とは、日付でしか見分けられません。宛先・提出日・提出者・版は題名の下にまとめ、出し直すときは前の版から変えた点を添えます。

直すときは、題名だけで何の提案かが分かるか、どの版かが分かるか、渡す場面に合った欄になっているか、を見ます。ここで扱うのは表紙の一枚だけです。表紙の次に置くアジェンダの並べ方は、提案資料のアジェンダで扱っています。

社名と「ご提案書」を消して何も残らない題名なら、変える対象と変え方を書き足す

社名とご提案書だけの表紙では何の提案か分からず、変える対象と変え方を書いた題名なら分かることを示す比較
図1 社名と「ご提案書」だけの表紙を、変える対象と変え方を書いた題名に直す(架空の見本)

「ご提案書」は資料の種類を表す語で、何についての提案かは表していません。社名と「ご提案書」だけの表紙で、同じ相手に、前の年は物流の提案、今年は受注の提案を出していれば、二つの表紙の文字は日付のほかは同じになります。題名から相手の社名と「ご提案書」を消してみて、何も語が残らないなら、その題名には何の提案かが書かれていません。

図1は、業務システムを扱う会社が、食品メーカーの受注課へ出す提案書の見本です。架空の例です。受注課では、取引先からFAXで届く注文を、担当者が手で入力しています。改善前の表紙には、相手の社名、「ご提案書」、提出者の社名しかありません。改善後は、題名を「受注課のFAX注文の手入力を、Web受注に切り替える提案」に替えました。

表1 題名に入れる語と、抜けたときに表紙から分からないこと

表1
題名に入れる語見本での語抜けると表紙から分からないこと
変える対象受注課のFAX注文の手入力相手のどの業務の話か
変え方Web受注に切り替える何をする提案か
資料の種類提案報告や見積もりとの違い

表1の分け方は、文化審議会の「公用文作成の考え方」が標題について示す考え方と重なります。この考え方は官公庁の文書に向けたもので、提案書を対象にしたものではありません。標題には「主題となる案件を示す言葉」を入れ、「鍵となる言葉」はできるだけ具体的にし、報告・提案などの言葉で文書の性格を示す、としています。表1に当てはめると、変える対象と変え方が主題を示す言葉で、「提案」が文書の性格を示す言葉です。標題の文字数は、読み手の負担にならないよう一行に収めるのが適当、としています。解説や広報の文書では、「…について」とせずに具体的な表現を使うよう勧めています。

変える対象は、相手の社内で使っている部署名や業務の呼び方で書きます。自社の中でだけ通じる略称や案件の呼び名を題名に入れると、その語を知らない相手の社内の人は、表紙から何の提案かを読み取れません。

題名に効果の大きさを書くなら、本文にその根拠を載せた紙面があるものに限ります。 表紙に「受注の手間を大きく減らす」と書いたとします。本文に今の作業時間も切り替えたあとの見込みもなければ、相手に「どれくらい減るのか」と聞かれたときに開いて見せる紙面がありません。根拠の紙面がまだないうちは、変える対象と変え方だけで題名を作ります。

題名が長くなるなら、対象と変え方を題名に残し、範囲や進め方は副題に回す

対象と変え方のほかに、どの取引先から始めるか、いつまでに切り替えるかまで入れると、題名は二行、三行と続きます。題名には対象と変え方だけを残し、範囲や進め方は副題として題名の下に小さく置きます。見本では、副題を「主な取引先から順に切り替える進め方と費用」にしました。

副題には、題名を言い換えた文を書きません。題名と同じことしか言えないなら、副題は置かなくて構いません。メールの件名やファイル名には題名だけを写すことがあります。副題がなくても、題名だけで何の提案かが分かる形にしておきます。

宛先・提出日・提出者・版は、題名の下に一つのまとまりで置く

表紙のあちこちに置いた宛先や日付を題名の下にまとめ、題名を表紙のいちばん上に置く配置の比較
図2 表紙の各所に散った宛先・日付・提出者を、題名の下の一つのまとまりに集める

宛先を題名より上に大きく置くと、表紙のいちばん上の行が相手の社名になり、何の提案かは二行目以降に下がります。宛先・提出日・提出者・版の四つは、題名で何の提案かを示したあとに、誰に宛てた、いつの、どの版かを示す情報です。題名の下の一か所にまとめておけば、版を出し直すときに書き換える場所も一か所で済みます。

表2 題名の下のまとまりに書くこと

表2
項目書くこと見本での書き方
宛先相手の会社名と部署〔相手の会社名〕 受注課 御中
提出日相手に渡す日〇年〇月〇日
提出者自社名、部署、担当者の名前、連絡先〔自社名〕 営業部、担当者の名前と連絡先
版相手に出した回数第一版

日付には、資料を作った日ではなく、相手に渡す日を書きます。提出日が書いてあれば、相手と話すときに、どの日に出した版かを日付で指せます。提出者の欄には、担当者の名前と連絡先まで書きます。社名だけでは、表紙を見た相手の社内の人が、提案の中身を誰に問い合わせればよいかが分かりません。相手の社内で回して読んでもらう資料なら、宛先は担当者の名前ではなく部署までにします。

出し直す提案書には、版の番号と前の版から変えた点を書く

打ち合わせのあとに費用や進め方を直して出し直すと、相手の手元には同じ題名の資料が二つ残ります。版の欄に「第二版」と書き、その下に前の版から変えた点を一行で添えます。見本なら「第一版から、切り替える取引先の順番と費用の欄を変えました」です。

版の番号は、社内で直した回数ではなく、相手に出した回数で数えます。社内の確認で何度直しても、相手に初めて渡すなら第一版です。

ファイル名にも、題名を縮めた語、版、提出日を入れます。「Web受注切り替えの提案_第二版_提出日」の形にしておけば、メールで受け取った相手は、ファイルを開く前に版を見分けられます。

資料の構成を決める段階から相談する

資料の構成を相談する

営業資料やプレゼン資料なら、渡す相手と使う場面に合わせて表紙の欄を変える

資料の種類ごとに、題名の書き方は同じまま、題名の下に置く欄だけが提案書と変わることを示す比較
図3 提案書・企画書・営業資料・プレゼン資料で、題名の下に置く欄を変える

題名に対象と変え方を書く点は、どの資料でも変わりません。違いが出るのは題名の下の欄です。宛先が一つの会社に決まっているか、相手に渡すのか映すだけなのかで、書く欄が変わります。

表3 資料の種類ごとの、題名の下に置く欄

表3
資料題名の下に置く欄版の扱い置かない欄
提案書宛先・提出日・提出者・版相手に出した回数で数えるなし
企画書(社内)提出先の会議や部署・提出日・起案者・版会議に出した回数で数える社外向けの連絡先
営業資料提出者・連絡先・更新日内容を直した日を更新日に書く宛先
プレゼン資料会議の名前・発表日・発表者映すだけなら書かない宛先と連絡先

営業資料は何社にも同じものを渡すので、表紙に宛先の欄を置きません。一つの会社に向けて中身を書き換えたなら、その資料は表3の提案書の行で書きます。宛先の代わりに更新日を書いておけば、受け取った相手は、手元の資料がいつの内容かを表紙で見分けられます。紙面の並べ方は営業資料の構成で扱っています。

プレゼン資料の表紙は、発表が始まる前から会議の画面に映すことがあります。映すだけなら、連絡先は発表者が口で伝えられます。表紙には会議の名前・発表日・発表者を書きます。発表のあとに配るなら、配る版に提出者の連絡先と版を足します。

企画提案書は、宛先の欄に社外の会社名を書くなら提案書の行で、社内の会議や部署を書くなら企画書の行で作ります。社内の企画書でも、題名には、部署の業務の何をどう変える企画かを書きます。

提案書の表紙についてよくある質問

表紙にキャッチコピーは入れたほうがよいですか

題名に変える対象と変え方が書けているなら、キャッチコピーは足しません。「業務の未来をつくる」のように、どの提案書にも書ける文は、何の提案かを表していません。相手に覚えてほしい言葉があるなら、その言葉を題名の変え方の語に使います。

相手の会社のロゴを表紙に入れてもよいですか

入れる前に、使ってよいかを相手の担当者に聞きます。宛先は社名の文字で示せるので、ロゴがなくても、誰に宛てた提案書かは表紙から分かります。自社のロゴは提出者のまとまりのそばに置き、題名より小さくします。

表紙の題名と、本文の見出しの言葉はそろえますか

そろえます。表紙の題名に書いた変える対象は、アジェンダの課題の行と、課題を説明する紙面の見出しでも同じ言葉で書きます。言葉が変わると、相手は、表紙の提案と本文の課題が同じ業務の話かを読み比べることになります。

表紙は、空欄の形に相手の部署・今の作業・変えたあとの形を入れて作る

空欄の表紙に見本の言葉を入れ、同じ相手へ前に出した表紙と題名を読み比べて言い分けられるかを確かめる手順
図4 表紙の空欄に見本の言葉を入れ、前に出した表紙と題名を並べる(架空の見本)

宛先・提出日・提出者は、案件が決まった時点で埋まります。題名の欄は、本文で変える対象と変え方が決まってから書きます。

表4 表紙の空欄と記入例

表4
欄空欄の形記入例
題名〔相手の部署〕の〔今の作業〕を、〔変えたあとの形〕に切り替える提案受注課のFAX注文の手入力を、Web受注に切り替える提案
副題〔どこから始めるか〕と〔進め方〕主な取引先から順に切り替える進め方と費用
宛先〔会社名〕〔部署〕 御中〔相手の会社名〕 受注課 御中
提出日〔相手に渡す日〕〇年〇月〇日
提出者〔自社名〕〔部署〕〔担当者の名前〕〔連絡先〕〔自社名〕 営業部、担当者の名前と連絡先
版第〔 〕版 〔前の版から変えた点〕第二版 切り替える取引先の順番と費用の欄を変更

題名の空欄にある「切り替える」は、見本の提案の変え方です。自分の提案に合わせて、「まとめる」「新しく始める」「やめる」など、何をどう変えるかを表す動詞に替えます。

同じ相手に初めて出す提案書なら、埋め終えた題名から相手の社名と「ご提案書」を消し、残った語だけで、どの業務の何をどう変える提案かを言えるかを見ます。前に同じ相手へ提案書を出しているなら、その表紙を隣に置き、題名だけを読み比べます。二つの題名から、それぞれ何の提案かを言い分けられなければ、変える対象を、部署の中のどの作業かまで書きます。出し直しの版なら、版の欄に書いた変えた点と、本文で直したページを開いて照らし合わせます。

題名に入れる変え方の動詞が決まらないなら、表紙より先に、提案で何を変えるかを決めます。提案の中身から整理したいときは、資料作成・営業準備のページのとおり、構成が決まっていなくても、目的や素材の整理から相談できます。

資料の構成を決める段階から相談する

資料の構成を相談する

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