プレゼン資料のスライド構成|最後まで話せないのはなぜ?
定例の持ち時間が終わりかけ、決めてほしいことを書いたスライドを映せないまま次の議題に移る。プレゼン資料の構成は、話し終えたあとに、聞き手に決めてほしいか、誰かに伝えてほしいか、手順を変えてほしいかから逆算して選びます。
スライドに書いた文を順に読むだけでは、書いていない理由や例を話す時間を取れません。背景の説明に時間を使えば、最後に置いた相談事項に届く前に発表が終わります。まず、聞き手に求める行動を決めて、そこまで話せる順に並べます。
聞き手が最後にすることを決めたら、一枚に何を載せ、何を口で言うかを分けます。持ち時間に何枚入るかは、見出しだけで通して話してから確かめます。社内の定例・施策の提案・手順の説明会で、話しながらスライドを見せる場面を扱います。配って読んでもらう営業資料は別の記事で扱っています。採否を決めてもらうアジェンダの並べ方は、提案資料のアジェンダで扱っています。
構成は、聞き手に最後に何をしてほしいかで選ぶ

その場で採否を決めてほしい発表と、職場に戻って手順を変えてほしい発表では、終わりに求める返事が違います。前者では「採るかどうか」、後者では「戻ったら何をするか」を示す必要があります。終わり方が決まると、冒頭で伝える目的と、中盤に要る説明も選べます。
図1のように、聞き手の最後の行動を選び、最後のスライドと冒頭の一言を決めます。中盤の説明を作る前に、最初と最後のスライドで伝えることを、先に一文ずつ書きます。冒頭で頼んだことと、最後に求める返事を見比べます。
表1 終わり方ごとの構成の選び方
| 終わり方 | 最後のスライド | 冒頭で言うこと | 場面 |
|---|---|---|---|
| 決める | 決めることと期限 | 何を決めてほしいか | 施策の提案 |
| 伝えてもらう | 誰に何を伝えてほしいか | 何が変わったか | 月次の報告 |
| 手順を変える | 戻ったら最初にやること | 変わる日と対象 | 手順変更の説明会 |
「決める」発表で、相談事項を最後にしか書かないと、時間切れのときにそのスライドを映せません。冒頭にも決めてほしいことを置けば、何の判断に向けた説明かを最初に言えます。最後には、説明を踏まえて答えてもらう問いと期限を残します。
「伝えてもらう」報告では、その場で賛否を聞く必要がなければ、結びを採否の問いにする必要はありません。代わりに、誰に何を伝えてほしいかを書きます。手順の説明会なら、終わりに全項目を再掲するより、職場に戻った直後の作業を示します。
並べ始める前に、聞き手が話を聞いたあとにすることを一行で書きます。
「変更内容を知ってもらう」で止まったら、そのあと職場で何をしてほしいかまで書き足します。行動が決まらない段階では、最後のスライドもまだ決められません。
同じ申請手順でも、提案・報告・説明会で並べ方を変える
以下は、社内の申請手順を題材にした架空の見本です。申請窓口を変える提案、変更後の月次報告、新しい手順の説明会を比べます。同じ題材でも、最後に聞き手へ求めることから順序を選びます。

提案の冒頭では、「申請を受ける窓口を変えるか、決めてください」と伝えます。続けて、今の手順で返答先が分かれている課題、窓口を変える案と今のまま続ける案、推す案の理由を示します。最後は、決めることと期限です。図2の改善後は、施策の説明に入る前に、聞き手に求める判断を書いています。
この列は、スライド全体で話す順序です。章ごとの採否の問いを書く方法は、提案資料のアジェンダで扱っています。
月次報告は、「変わったこと→詳細→対応中のこと→部署へ伝えてほしいこと」の順にします。冒頭で申請の返答先が変わったことを伝え、中盤では変わった範囲と、まだ旧手順で受けている申請を説明します。最後に、各部署へ新しい返答先を伝えてほしいと頼みます。採否を決めるための選択肢は、この報告の目的には含めません。
説明会では、「変わる日と対象→新しい手順→迷いそうな箇所と問い合わせ先→最初にやること」と並べます。新手順に沿った申請の流れを見せ、途中まで旧手順で進めた申請の扱いを補います。結びには、次の申請で使う受付先を載せます。変更の経緯を詳しく話したい場合も、対象者が行う作業を説明してから補足します。
スライドには主張・図・条件のラベルを残し、理由と例は原稿に移す

配らない発表なら、紙面に書いていない説明も、その場で話し手が補えます。スライドの全文をそのまま読み上げるあいだ、聞き手は画面の文と同じことを耳でも聞くだけになります。その文にはない理由や例を話すなら、読み上げる文を原稿へ移し、スライドに何を残すかを選びます。
原稿に移すのは、図を見ただけでは分からない経緯や、場面に応じた補足です。主張の対象が変わる条件は、短いラベルとしてスライドにも残します。口でだけ対象を限定すると、画面には対象を限定していない主張が残るためです。
表2 スライドと話す原稿の分担
| 情報 | スライドに残すもの | 話す原稿に移すもの |
|---|---|---|
| 主張 | その紙面で伝える結論の見出し | 結論に至った経緯 |
| 手順 | 作業の順序を示す図と、各作業のラベル | 各作業で何を入力し、誰へ渡すかの説明 |
| 条件 | 対象と適用範囲の短い注記 | 対象外になる申請の例と、個別の扱い |
| 理由 | 理由を示す比較図や対応線 | 比べた経緯と、図の読み方の説明 |
申請手順の見本で分けてみます。改善前の紙面は、「申請先を受付窓口にまとめます。受付担当が内容を見て、各部署の担当へ回します」という説明文で埋まっています。発表者の原稿も同じ文だけです。
改善後は、見出しを「申請は受付窓口へ送り、受付担当が各部署へ回す」にします。その下には、申請する人→受付窓口→各部署の担当、という手順図を置きます。対象を新規の申請に限る条件は、図のそばに「新規の申請が対象」と残します。
原稿には、窓口をまとめる理由と、すでに出した申請の扱いを書きます。話し手は図の矢印を順に示しながら、誰が何をするかを説明します。聞き手に見せる順と、口で説明する順をそろえてください。図3では、この説明の置き場所の違いを並べています。
文を削ったあと、主張の対象まで広がっていないかを、残した注記と原稿で見比べてください。
短くする作業だけでは、残す条件を選べません。「全員が新手順を使う」と読める画面に、原稿でだけ例外を足す形は直します。
配る資料にするなら、口で話した説明を書き足した版を別に作る
発表後にスライドだけを渡すと、口で話した理由や例は、そのファイルに含まれません。配る場合は、原稿に移した説明を書き足した版を別に作ります。話し手のいない場で読む資料の組み方は、営業資料の構成で扱っています。
枚数は持ち時間から決め、見出しだけで通して話してから並べ替える

手順図を指しながら説明する紙面と、結論だけを伝える紙面では、話す内容の長さが違います。先に枚数だけを決めても、持ち時間に収まるかはまだ分かりません。図4の流れで、実際に話す長さを計り、使うスライドを選びます。
- 持ち時間から質疑の時間を引きます。会議全体の時間と、自分の発表に使える時間を分け、質疑を発表に含めるかも決めてください。
- スライドの見出しを、一枚につき一行で書き出します。章の名前だけでは話す内容を決められないので、その紙面で言う主張まで書きます。
- 見出しだけを見て、声に出して通しで話します。理由や例も省かずに話し、見出しごとの長さを計って横に記録します。
- 発表に使える時間を超えたら、補足から削ります。話が前に戻った箇所には印を付け、必要になった説明を先へ移します。見出しを書き直し、もう一度通して計ります。
手順3では、速く読んで収めようとせず、当日話す内容を言葉にしてください。原稿の読み上げだけを計ると、図を指して補う説明を含めていません。図を見せる位置で指差す動作も入れ、そのときに話す文まで計ります。
並べ替える場所は、途中で「先ほどの話に戻ると」と言った箇所から探せます。申請先を説明したあとに対象者の説明へ戻ったなら、対象者を先に示す順に変えます。聞き手が別の案との比較を見る前に、話し手が推す理由を話していたなら、比較を前に置きます。言い直した箇所と、その理由を見出しの横に書き足します。
削ったあとも計ります。紙面を減らしても、残した図の説明が長ければ、発表全体は持ち時間を超えます。反対に時間が余った場合も、新しい話題を足す前に、聞き手から受ける質問に時間を残すかを決めます。
時間が足りないときは、補足のスライドから削り、最後のスライドは残す
本編を聞くために要らない詳しい経緯、同じ主張を説明する追加の例、繰り返した説明の順に、外す候補を選びます。追加の例を削るときは、残した例と同じ条件を説明しているかを見ます。違う条件を扱う例なら、その条件をスライドか原稿に残してください。
次に、中盤の紙面を見直します。申請手順なら、使う人が変わる箇所を残し、担当が変わらない作業の詳説を原稿へ移します。スライドを外したぶんを全部口で補えば、話す長さは変わりません。外すのは紙面だけか、発表で話す内容も含むのかを決めます。
最後のスライドには、採否の返事、部署へ伝えてほしいこと、最初の作業のどれかを残します。これを削ると、説明を終えた時点で聞き手に何を求めるかを示す箇所がなくなります。最後まで話す時間が取れないなら、背景や追加の例を先に短くします。
使う日までの原稿作成や関係者の返事待ちで止まっている場合の進め方は、資料制作の段取りで扱っています。資料の作成を頼む前に整理する項目は、資料作成の依頼チェックリストで扱っています。
資料の構成を決める段階から相談する
よくある質問:プレゼン資料の構成
プレゼン資料は何枚にすればよいですか
持ち時間から質疑を引き、発表に使える時間を決めます。見出しだけで通して話し、理由や例も含めた長さを計ります。合計が時間を超えたら、補足を外して再計測します。図を指して説明する紙面と、結論だけを伝える紙面では、話す長さが違います。先に固定の枚数を当てはめると、紙面ごとの説明量に合わせて枚数を選べません。
営業資料や提案資料と、プレゼン資料の構成は何が違いますか
話し手がその場にいるか、聞き手が採否を決める場かで分けます。話しながら見せる構成は、スライドと口の説明を合わせて考えます。話し手のいない場で回覧される資料の組み方は、営業資料の構成で扱っています。提案資料のアジェンダでは、採否を決める章の並べ方を扱います。
スライドの構成例は、そのまま使えますか
最後に聞き手がすることの行を、自分の発表の言葉で書き換えます。その行をもとに、冒頭と中盤の内容を選びます。月次報告でも、その場で施策の採否まで求めるなら「決める」型を選びます。会議の呼び名だけでは、終わりに何を求めるかは決まりません。
発表のあとに資料を配ってもよいですか
口で補った理由や条件を、配る版へ書き足します。発表用の短いラベルだけでは、話を聞かなかった人へ補足の説明を渡せません。配る版に書き足す内容は、営業資料の構成で扱っています。
話す前に、終わり方・一枚の主張・時間配分の順に見直す

手元のスライドを開く前に、聞き手へ最後に頼むことを一行で書きます。続けて表3の順に見直し、書いた行と違う結びになっている箇所から直します。
表3 発表前に見る場所と、何をするか
| 何を見るか | 何をするか |
|---|---|
| 最後の行動と、冒頭で頼むことが合っているか | 最後のスライドと冒頭の一言を並べて読み、求める返事が違えば書き直す |
| 見出し・図・条件を紙面に残し、理由や例を原稿へ移したか | 紙面と原稿を並べ、画面だけでは対象が広がる箇所に条件のラベルを戻す |
| 質疑を引いた時間内に、最後まで声に出して話せるか | 見出しだけで通して話し、補足を削ったあとも最後まで計り直す |
終わり方を変えたら、最後のスライドと冒頭の一言も書き直します。説明を原稿へ移したら、その原稿で話す長さを計り直します。図5の順に直したあと、最後のスライドまで通して話してください。
