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見やすい資料の作り方|色や図を整えても読みにくいのはなぜ?

色やフォントを直しても見づらいと言われるなら、紙面でいちばん目立つ箇所と、読んでほしい主張の箇所が同じかどうかを先に見ます。たとえば、会議の前に資料を上司に見せて「見づらい」と言われ、配色とフォントを変え、図も描き直して見せたのに、また同じことを言われたとします。

色・太字・枠・大きな文字で目立たせた箇所が一枚に何か所もあると、どこから読むかは読み手が自分で選ぶことになります。配色を整えても、目立たせた箇所の数と場所が同じなら、この状態は変わりません。直すのは、目立たせる箇所の数と場所、表・グラフ・手順図で隣に置くものと色を付けるもの、ページをまたいだ見出し・本文・注記の位置と大きさです。

一枚に載せる情報の量は営業資料の構成で、AIで作った下書きを直す順番はAI資料作成の修正で扱っています。

色や太字で目立たせる箇所は、見出しのほかに一か所だけにし、主張の文に置く

改善前は黄色のマーカーや枠がいくつも並び、改善後は見出しと変わる決まりの行だけが目立つ紙面
図1 見出しのほかに目立たせた箇所に印を付けて数え、主張の一行だけを残す(架空の見本)

紙面のなかで、周りと色・太さ・大きさが違う箇所は、周りと区別されて見えます。区別されて見える箇所がいくつもあると、そのうちどれが主張なのかは紙面から読み取れません。配色を整える作業は、目立たせる箇所を減らす作業とは別です。

以下は、社内の会議室の予約の決まりを変える提案資料を題材にした架空の見本です。改善前の紙面には、青い帯に「会議室予約ルールの見直しについて」という題名があり、右上に部署のロゴがあります。箇条書きの五行にはどれも黄色のマーカーを引いた語が入り、下には「ポイント」と書いた太い枠と、三角のアイコンがあります。提案の中身である「取り消すときは前日までに連絡する」という変更は、五行目のマーカーのひとつとして並んでいるだけです。

改善後は、提案の中身を見出しに書き、紙面でいちばん大きな文字にします。青を付けるのは、変わる決まりの一行だけです。ほかのマーカーは外して本文と同じ黒に戻し、「ポイント」の枠とアイコンも外します。ロゴは右下へ移し、見出しより小さくします。

手元の紙面では、見出しを除き、色・太字・枠・下線・アイコンで目立たせた箇所すべてに印を付けて数えます。主張の一行以外に印があれば、ひとつずつ外していきます。外すときは、その文字を消さず、本文と同じ色と太さに戻します。

色を付けるときは、その色が何を表すかを一つだけ決め、同じ資料の中で別の意味に使わないでください。

赤を「変わる箇所」にも「注意してほしい箇所」にも使うと、赤い文字がどちらの意味なのかを、読み手が前後の文から判断しなければなりません。この見本では、青を「そのページの主張を示す箇所」にだけ使います。図1では変わる決まりの一行、表では推す案の列、グラフでは月曜の棒に青を付けています。

色だけで区別せず、文字のラベルや線の形でも分ける

白黒で印刷すると、色の違いは濃さの違いとしてしか残りません。濃さの近い色だけで「推す案」と「今のやり方」を分けた図は、白黒の紙で読む人には区別がつきません。文化審議会の「公用文作成の考え方」の解説は、グラフや表について二つのことを挙げています。「色覚の多様性に配慮した見分けやすい配色」とすることと、「白黒で示される場合も想定」しておくことです。色で分けた箇所には「推す案」のような文字のラベルを添えるか、線の太さや形を変えます。見本の改善後でも、青の一行に「変更」のラベルを付けています。

表なら比べる案の列を隣に置き、グラフなら言いたい差だけに色を付ける

推す案の列を今のやり方の隣へ移した表と、月曜の棒だけを青にしたグラフの改善前後
図2 推す案の列を今のやり方の隣に置いた表と、言いたい差だけに色を付けたグラフ(図1と同じ見本)

表・グラフ・手順図は、二つの案を比べる、曜日や月による差を見る、作業の順をたどる、のどれを読み手にしてほしいかで並べ方を決めます。

表1 紙面の型ごとの並べ方

表1
紙面の型読み手にしてほしいこと並べ方色や印を付ける箇所
表案どうしを比べる比べる二つの列を隣に置き、行は話し合う順に上から並べる推す案の列
グラフ曜日や項目による差を見る見出しに差の中身を書き、系列の名前を棒や線のそばに書く言いたい差を示す系列
手順図作業を順にたどる矢印の向きを一方向にそろえ、作業に番号を付ける新しく加わる作業

見本の比較表は、今のやり方・案A・案Bの三列で、提案者が推すのは右端の案Bです。今と何が変わるかを見るには、左端と右端の列を行ごとに見比べなければなりません。改善後は推す案を今のやり方の隣に移し、案Aを右端に置きます。行は会議で先に話し合う条件から並べます。順に、取り消しの手間、予約できる時間帯、始められる時期です。

同じ行のセルは、書き方をそろえます。○や△の記号と文が一つの行に混ざっていると、記号と文のどちらで比べればよいかが決まりません。記号を使うなら、記号の意味を表の下に書きます。

グラフは、種類を選ぶ前に、見出しに書く差を決めます。見本の見出しは「連絡のない取り消しは月曜に集中」です。曜日ごとの棒のうち月曜の棒だけを青にし、残りは灰色にします。凡例を別の場所に置くと、読み手は色と名前を合わせるために、凡例と棒を見比べることになります。系列の名前は棒や線のすぐそばに書きます。

手順図は、矢印の向きを左から右か、上から下のどちらかにそろえます。向きが途中で折り返す図では、次の作業がどの箱なのかを、矢印をたどって探します。作業には番号を付けます。新しく加わる作業にだけ色を付け、ほかの作業は今のやり方の図と同じ色にします。

数字を並べる表は、単位を見出しの行に書き、数字を右に寄せる

数字を右に寄せると、一の位が縦にそろい、桁数の違いを見比べられます。単位は列の見出しの行に一回だけ書き、セルには数字だけを入れます。単位をセルごとに書くと、「円」と「ドル」のように単位の字数が行ごとに違うとき、数字の右端がそろいません。

見出し・本文・注記の位置と大きさを、全ページで同じにする

ページごとに見出しの位置と大きさが違う改善前と、全ページでそろえた改善後
図3 表のページだけ中央にあった見出しを、三ページとも同じ位置と大きさにそろえる(図1と同じ見本)

一ページずつ整えても、見出しの位置や文字の大きさがページごとに違うと、めくるたびに見出しの場所が変わります。見本の改善前は、表のページだけ見出しが中央にあり、グラフのページでは見出しが小さく、本文と同じ大きさになっています。

文字は役割で見出し・本文・注記の三種類に分け、種類ごとに大きさと太さを一つに決めます。この三種類に入らない書き方(色・太字・枠)は、各ページで主張を示す一か所だけに使います。

大きさや位置を直すときは、一ページだけを直さず、同じ役割の文字を全ページで同じ値に変えてください。

箇条書きや、二行以上になる文は左ぞろえにします。中央ぞろえでは、行の長さが違うと行頭の位置も行ごとに変わります。一行で終わる表紙の題名なら、中央に置いてもかまいません。

見出しと本文の位置・大きさは、使っているソフトのひな形に登録しておきます。ページを足したときも、同じ位置から書き始められます。

資料の構成を決める段階から相談する

資料の構成を相談する

見やすい資料の作り方についてよくある質問

見やすい資料のサンプルから、何をまねすればよいですか

まねするのは紙面の型です。サンプルが色を付けている箇所や目立たせている箇所は、サンプルの主張に合わせて決めたものです。使うときは、自分の資料の主張をどこに書くかを先に決め、目立たせる箇所をそこへ移します。所属先に色や書体の決まりがあれば、サンプルの色や書体はその決まりに置き換えます。

文字の大きさは、何ポイントにすればよいですか

何ポイントなら読めるかは、映す画面の大きさや、紙に印刷するかどうかで変わります。読む場所で実際に表示して決めます。映すなら会場のいちばん後ろの席から、配るなら印刷した紙を手に持って、オンライン会議ならノートパソコンの画面に共有して、注記の文字が読めるかを見ます。読めた大きさのうちいちばん小さいものを注記の大きさにし、本文と見出しはそれより大きくします。

一枚に主張が二つあるときは、どうすればよいですか

ページを分けます。一枚に主張を二つ置いて両方を目立たせると、見出しのほかに目立たせる箇所が二か所になり、どちらから読むかが紙面から決まりません。主張ごとにページを分ければ、各ページで目立たせる一行が決まります。一枚に載せる量の決め方は営業資料の構成で扱っています。

縮小表示と白黒印刷で、主張の箇所が読めない紙面を見つけて直す

縮小表示、白黒印刷、紙の並べ比べの順に見直し、手順ごとに見つかる問題を示した図
図4 縮小・白黒・並べ比べで、それぞれ見つかる問題(図1と同じ見本)

作った本人は、各ページに何が書いてあるかを知っています。普段の大きさで見直すと、主張の箇所が目立っていなくても、内容を知っているので見つけられてしまいます。そこで、見え方を変えて見直します。

  1. ページ一覧の表示に切り替え、一画面に数ページが並ぶ大きさまで縮小します。その大きさでも読める文字を、ページごとに書き出します。
  2. 書き出した文字と、そのページの主張を並べます。書き出せたのが題名やロゴだけで主張が入っていなければ、図1の節に戻り、見出しのほかに目立たせる箇所を主張の一行だけにします。
  3. 白黒で印刷します。色で分けていた箇所を、ラベルや線の形でも見分けられるかを見ます。見分けられない箇所にはラベルを足します。
  4. 印刷した紙を順に横へ並べ、見出しの上端と本文の左端が全ページで同じ位置にあるかを見ます。ずれているページは、ひな形の位置に戻します。

手順2で、どのページでも書き出した文字に主張が入っていれば、色や書体の好みの調整は手順3と手順4のあとに回します。手順2で、そもそも何を主張にするかが決まらない場合は、見た目より先に構成を考え直します。スゴスギの資料作成・営業準備では、見せる相手と判断してほしいことから資料の構成を決め、構成を確認してから文章と図解を仕上げます。構成が決まっていない段階でも、目的や素材の整理から相談できます。

資料の構成を決める段階から相談する

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