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採用にAIを使うなら、ツールより先にAI採用ディレクターを置く

求人票をAIで下書きし、スカウトの文面も出してもらった。それでも誰に何を伝える採用なのかが決まっていなければ、出てくる文章は媒体ごと、担当者ごとに別の話になります。

採用にAIを使うなら、最初に決めるのはツールではなく、どの作業をAIに任せ、どこを人が決めるかです。AIを使うと、調べる、並べる、下書きするという作業の順番と手間が変わります。誰を採るか、候補者に何を約束するかを決める仕事は人に残ります。スゴスギは、この分担を決めて戦略からコンテンツまでを通して進める役割を「AI採用ディレクター」と呼びます。

人事担当者を対象にした国内の調査では、経験者採用の業務で生成AIをすでに使っているという回答が28.7%、今のところ使う予定がないという回答が45.5%でした。これから試す会社にも、すでに使っている会社にも、同じ分け方を当てられます。

採用の作業は「AIに任せる」「人が決める」「人が相手と話す」に分ける

ツールは「書く」「送る」「評価する」といった機能の単位で売られています。機能から選ぶと、どの判断を誰が持つのかを決めないまま導入が進みます。先に作業を分けておけば、ツールの比較は「AIに任せる」と決めた作業にだけ当てれば足ります。

採用の作業をAIに任せる作業、人が決めること、人が相手と話すことの列に分けた図
図1 採用の作業を次の3つに分ける

候補者を選ぶ判断と候補者との対話は、人が持ちます。AIには、その判断に使う材料づくりを任せます。同じ国内の調査で、今後も人が対応したい業務として最も多く挙がったのは面接・面談で、75.3%でした(複数回答)。

表1 作業ごとの分け方

表1
作業AIに任せること人が持つこと
競合の調査公開されている求人と採用ページの打ち出しを一覧にするどの打ち出しを取るかを決める
候補者の質問求人票と面談のメモから質問を洗い出すどの質問に答えるかを決める
求人票下書きと言い換えの案を出す条件と制度を原典と見比べる
記事と資料取材メモの整理と構成案を出す取材をして本文を書く
面接質問案を下書きする面接をして評価する

AIを使うと、媒体を選ぶ前に競合と候補者を調べられる

競合の調査を手作業で行うと、同じ職種の求人を何社分も開き、打ち出しを読み比べることになります。担当者の手が空くまで始められません。AIに一覧を作らせれば、この作業を採用活動の最初に置けます。

変わる点は次の3つです。

  • 調べる順番:媒体を選ぶ前に、競合が候補者へ何を言っているかを一覧で見られます。
  • 材料の持ち方:候補者の質問と自社の答えを表にしておき、求人票、採用ページ、面談の資料をその表から作ります。媒体ごとに別の話を書かずに済みます。
  • 見直しの単位:応募や面談の結果を段階ごとに表へ入れ、止まっている段階の原因の候補をAIに並べさせます。どれを直すかは人が決めます。
調べる、決める、作る、見直すの順に進み、AIと人が担う作業を段に分けて示した図
図2 調べる・決める・作る・見直すの中で、AIと人が担う作業

図2のとおり、AIが担う作業と人が担う作業は、どの段階にもあります。「AIを入れた工程」と「人の工程」に分けるのではなく、段階ごとに両方を置きます。

最初の2週間を目安に、競合の打ち出しと候補者の質問を表にする

ツールを増やさなくても、始められます。社内で使ってよいと決まっている生成AIがあれば、次の手順で進めます。

  1. 採用したい職種を絞ります。複数の職種を同時に扱うと、候補者の質問が混ざります。
  2. 同じ職種の公開求人と採用ページの本文をAIに渡し、打ち出しを会社ごとに一覧にさせます。
  3. 自社の求人票と、個人情報を除いた面談のメモをAIに渡し、候補者が聞きそうな質問を並べさせます。
  4. 質問ごとに自社の答えを人が書きます。答えられない質問は、経営者か現場に聞きます。

質問を並べさせるときの依頼文は、たとえば次の形です。

「次の求人票と面談のメモを読み、この職種の候補者が応募前に知りたいと考えそうな質問を挙げてください。質問ごとに、手元の資料で答えられるかどうかを書いてください。資料にない事実は書かないでください。」

応募者の氏名や職務経歴書は、社内のルールで認められていない限りAIに入れません。AIが下書きした制度・数字・社員の発言は、公開する前に人が原典と見比べます。AIは資料にない事実を文章にすることがあり、求人票の誤りは候補者への誤った約束になります。

AI採用ディレクターが担うのは、戦略・設計・コンテンツ・運用の設計まで

AIツールは作業を速くしますが、どの作業を速くするかは決めません。その判断を持つ役割がないと、ツールごとに別の材料ができます。

AI採用ディレクターは、次の4つを担います。

  • 戦略:誰を採用し、候補者に何を伝えるかを、競合の調査と社内の話から決めます。
  • 設計:候補者の質問と答えの表を作り、どの媒体と資料で何を伝えるかを決めます。
  • コンテンツ:採用ピッチ資料、記事、採用サイトの原稿を、取材をもとに作ります。
  • 運用の設計:誰がいつ何を見直すか、AIに任せる作業と人が持つ判断をどこで分けるかを決めます。

運用の設計で決めるのは手順と担当の割り当てです。候補者への送信や応募者への返信そのものは、この役割に含めていません。

方針がないままAIで量を増やしても、採用の話はそろわない

AIにも向かない場面があります。次の条件に当てはまるなら、ツールを増やす前に分担を見直します。

  • 誰を採用するかが社内で一致していない場合。AIは案を増やせますが、社内の合意は作れません。
  • 自社の話を聞ける相手がいない場合。AIは経営者や現場に話を聞きに行けません。話されていないことは、根拠のある材料になりません。
  • 候補者の選定をAIに任せようとしている場合。AIの判断の根拠を人が説明できない場合があります。サービスの形によっては法令の確認も要ります。外部に頼む場合の論点は別の記事で扱います。

当てはまらないなら、表1の競合の調査と候補者の質問の行を、今週の作業にします。

この記事の根拠を確認できる資料

AI採用ディレクターの進め方を自社に当てはめるのが難しそうなら、スゴスギに相談してください

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